買付の目線。
お客さまによく聞かれることのひとつで「買付に行って沢山サンプルがある中、わからなくなりませんか?」というものがあります。興味を持っていただきとてもうれしいです。「味わいはとりあえず置いておいて、透明感のあるものを選ぶので、案外絞られます。」このようにお答えするのですが、解りにくいので少し詳しく書いてみます。
近年のコーヒーシーンにおいて、新しいコーヒーの味わいをSNSや店頭などで発信していくときに、◯◯◯のフレーバーが…◯◯◯の香りが…と表現しているのを目にすることが多々あるのではないでしょうか。おうちでコーヒーを淹れて飲むときに、どうしてもお店が表現した◯◯◯の味わいを探してしまいがちになるかもしれませんね。かくいうBRANCH COFFEEも現状そのような発信をしています。
しかし、買付の現場で最優先事項として見るのは香りでもフレーバーでもなく【クリーンカップ(透明感)】であり、この透明感が担保されているコーヒーでないと、印象的なフレーバーを有するコーヒーがあったとしても買付はしないです。例を挙げます。ピーチを想わせる熟して甘い香りとフレーバーのコーヒーがあったとします。そのピーチは透明なガラス越しのはっきりしたピーチなのか。やや擦りガラス越しのなんとなくピーチっぽいものなのか。完全に真っ白な擦りガラス越しのおそらくピーチなのか。もちろん一番良いのは透明なガラスのピーチです。さらに見ていきます。冷めてもそのガラスが曇らないか、他のネガティブな邪魔が入らないか、約1時間かけて慎重に見ていきます。そうして残ったコーヒーが買付候補として挙がります。
BRANCH COFFEEの目指すコーヒーは、中煎りでも深煎りでも後味の良いコーヒー。シンプルに表現するとしたら、飲み終わって少ししたら何を飲んでいたのか忘れるようなコーヒー。そういえばさっきコーヒーを飲んだな、みたいな感じです。それが私たちの目指すコーヒーであり、目指す焙煎です。そのようなコーヒーが完璧に出来ればシチュエーションを問わず、どなたにも楽しんでいただけるのではないかと考えています。印象に残るランチやディナーの後はもちろん、スイーツのお供としても出しゃばることがないように、脇役をさり気なく固めるのが最良のコーヒーなのであります。あくまでもお料理やスイーツが主役ですから!
日々、研究と改善をしていきます。ではでは、良い週末を。